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利益剰余金 過去最高の446兆円  内部留保課税に現実味
   財務省が「内部留保課税」の実現に向けて動き出す。9月3日に発表した2017年度の法人企業統計で、金融・保険業を除く企業の内部留保にあたる利益剰余金が446兆円に上っていることが判明。6年連続の増加で過去最高を更新し、前年度比で9・9%増という伸び率はこの6年で最も高いものだった。麻生太郎財務相は、翌4日の記者会見で「あれだけ貯めて何をするのか。給料が伸びたといっても2ケタに達していないし、労働分配率も下がっている」といら立ちを隠さなかった。
 安倍晋三首相は、事あるたびに賃上げや設備投資を企業トップに要求している。その効果か、法人企業統計でも、人件費は前年度より2・3%増えて206兆円、設備投資も5・8%増の45兆円となったが、当期純利益も61兆円と24%も増えた結果、利益余剰金が拡大した。一方で、企業が支払った税金にあたる租税公課は11兆円から10兆円に減った。安倍首相肝いりの法人税引き下げが、図らずも内部留保を積み増した形だ。
 内部留保は法人税を支払った後の剰余金のため、財務省は「二重課税」の批判を嫌い、課税に慎重な姿勢だった。しかし昨年9月、小池百合子東京都知事が立ち上げた希望の党の政策公約では、消費税を延期した場合の財源として内部留保300兆円に課税する案が盛り込まれた。麻生氏は「二重課税だ」と攻撃してみせたが、実態は「民進党から合流した玉木雄一郎衆院議員(現国民民主党代表)ら旧大蔵省OBメンバーを通じ、財務省が上げた観測気球だった」(自民党幹部)という。財務省幹部は「内部留保がさらに拡大していく見通しである今こそ、堂々と課税を議論して実現させたい」と語る。