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「独自予想加えた」で一時所得に  ハズレ馬券裁判で納税者敗訴が確定
   競馬予想プログラムを使って2年間にわたり約3億円の当選金を得た男性に対し、最高裁判所第一小法廷(小池裕裁判長)は8月29日、男性の上告を退けた。これにより、男性の馬券収入は一時所得に当たるとした地裁判決が確定した。長期間にわたる多額の馬券収入を巡っては、近年2度にわたって本来の一時所得ではなく雑所得と認める判決が出ている。今回異なる司法判断が下された理由には、プログラムにすべてを任せない「独自予想」が影響したようだ。
 横浜市の男性は、独自開発した競馬予想プログラムを用いてレース結果を予想し、2009年〜10年の間に約2億8千万円分の馬券を購入。約3億円の払い戻しを受け、これを「事業所得」として申告し、ハズレ馬券の購入費を経費としたが否認された。予想に当たっては馬券購入をプログラムにすべてを任せず、自身の判断も加えていたという。判決では、男性が自身の判断を加えていたことをもって、「購入規模は大きいが、一般的な馬券愛好家の購入態様と質は異ならない」と判断。さらに赤字の年もあり収益が安定していないことなどからも「社会通念に照らして『事業』に該当するとは言えない」と結論付け、一時所得が妥当とした。
 馬券収入を巡っては15年と17年に、競馬で多額の払い戻しを受けていた男性2人が、それぞれ「雑所得」を主張して国税と対立し、勝訴している。その結果、国税庁は馬券収入の取り扱いに関する通達を改正し、「馬券を自動的に購入するソフトウェアを使用して定めた独自の条件設定と計算式に基づき、または予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入するなど、年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入」したケースについては、雑所得として扱い、ハズレ馬券の費用を経費に含めるとしている。今回の男性は雑所得ではなく事業所得と主張したが、どちらにせよ裁判所は、一般の競馬愛好家と変わらない「一時所得」と結論付け、過去の2回の判例とは判断を分けたことになる。
 今回の判決をもって「プログラムに任せれば雑所得、独自予想なら一時所得」と結論付けることはできない。17年12月に雑所得を認められた男性は、自動購入ソフトなどは使わず、レースごとに結果を予想して、計約72億7千万円分の馬券を購入して計約5億7千万円の利益を得ていたからだ。この男性に対して最高裁は、「多額の利益を恒常的に上げていて、プログラムを使用したケースと本質的に違いはない」とハズレ馬券の経費性を認めた。
 改正通達でも雑所得して認められる条件をソフトウェア使用に限定していないように、馬券で得た収入が一時所得に当たるかどうかは、あくまでケースバイケースで、購入態様や期間、当選金の額などによって決まるということのようだ。しかし納税者にとっては前もって予見しづらく、不安の残る状態になっている点は否めない。