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ビル・ゲイツ氏「最も裕福な我々に課税を」  「富裕税」導入を提言
  マイクロソフト社の共同創業者で慈善事業家のビル・ゲイツ氏が、世界経済フォーラムで富裕層への増税を訴えた。ゲイツ氏はこれまでもたびたび富裕層がより税負担を課されるべきと主張してきたが、「現在に至るまで増税が進んでいないことに驚いている」と述べ、不平等の是正に自身を含む富裕層の財産が使われることを望んだ。
 1月19日までにスイスのダボスで開催された世界経済フォーラムでのパネルディスカッションで、ゲイツ氏は富裕層への課税および、先進国から発展途上国への寄付金の増額を提案した。「国であれ企業であれ個人であれ、最も多くの財産を持っている人々はもっと寛大になるべきだ」と述べた。ゲイツ氏によれば250人以上の超富裕層が賛同し、世界の指導者たちに向けた富裕税を課すように求める公開書簡に署名したという。書簡では、「富裕層に課税したとしても、彼らの子どもたちから財産を奪うことにはならないし、彼らの生活水準を根本的に変える」こともないとも記されているという。
 ゲイツ氏が“富裕税”を提言するのは、今回が初めてではない。2018年には、当時の米トランプ政権が作成した税制改革案について、「中間層や低所得者層に比べて経済的に恵まれている人のほうが劇的に多くの恩恵を受ける」と批判し、「私は他の誰よりも多い額を米国政府にこれまで納税してきた。だが政府は私のような立場にいる人々に対し、さらに高額な税金を課すべきだ」と語ったことがある。
 ゲイツ氏は慈善事業家としても知られ、22年には慈善基金団体に約2.7兆円を寄付した。元妻のメリンダ氏と合わせた生涯寄付額は7.4兆円を超え、著名投資家のウォーレン・バフェット氏を超えて史上最大の“慈善家”となっている。
 国際NGOのオックスファムの調べによれば、コロナ禍の約2年間で世界の99%の人が収入を減らした一方で、世界で最も裕福な10人の資産は倍増したという。