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空き家問題  課税強化の改正法スタート
   放置されている空き家に課税強化する「空き家対策特別措置法」の改正法が12月13日に施行された。全国で増え続ける空き家への対策として、管理できていない空き家の所有者を固定資産税の軽減措置から外す。
 住宅用地には税額計算のベースとなる課税標準を最大6分の1まで減らす特例があるが、倒壊の危険性や衛生上の有害性があると自治体が判断した「特定空き家」は優遇措置の対象から外されている。今回の改正法ではさらに、窓や壁の一部が壊れているなど「管理不全空き家」についても、改善がみられなければ特例が解除できるようになった。周囲に著しい悪影響を及ぼす「特定空き家」と同様に扱い、状態が悪化する前の活用や撤去を促す狙いだ。このほか空き家の活用促進地域を定めて建て替えなどをしやすくしたり、NPO法人などを管理活用法人として所有者との相談などを強化したりする内容が盛り込まれた。
 法改正の背景には、放置された空き家が倒壊リスクや衛生悪化など周辺環境に悪影響を及ぼすほか、不動産流通の妨げや地価の下落に繋がるなど社会問題化している実態がある。国土交通省によると、放置されている空き家の数は全国で349万戸に上り、20年前から倍増している。親から住宅を相続した子が放置するケースが目立っており、現状のペースだと30年までに470万戸に増える見通しだ。
 今回の改正法により、空き家オーナーにとっては、特例が外れてしまうと固定資産税の負担額は最大6倍に膨らむ恐れがある。空き家の固定資産税を回避するには相続時に登記しない手法があるが、来年4月にスタートする「相続登記の義務化」によって、これも封じられる見通しだ。義務化後は、相続を知ってから3年以内に所有権移転登記を行わないと行政罰として10万円以下の過料が科されるようになる。この義務化の対象には施行前に相続した不動産も含まれる。
 空き家の数が膨大となっている今、登記情報をどこまで国が精査できるかは不透明だが、法務省は「固定資産台帳や住基ネットなどさまざまな情報源から死亡情報を取得し、自治体と連携して調べる体制を整える」と本気度を示している。