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コロナ禍で報酬辞退時の源泉徴収  いつの分の報酬かが処理の分かれ目
  コロナ禍で会社が業績不振に陥っているとして、その責任を取って役員が報酬を辞退したとする。この時、その報酬が支払期日をすでに過ぎた未払分であるか、それとも支給日を迎える前の分であるかによって、会社の税務処理が変わる。
 所得税のルールでは、給与所得の収入金額は、その給与等の収入にすべき権利が確定した年分に計上することとされている。そして、給与所得にかかる所得税の源泉徴収時期は、原則として源泉徴収の対象となる給与等の支払いが「現実に行われた時」だ。
 つまり役員報酬を辞退するケースでは、役員が給与等をその支給日前に辞退しているなら、その辞退した報酬は給与所得とならず課税されない。ということは源泉徴収は不要だ。
 一方、すでに支払期日を過ぎている報酬については、扱いが「未払給与の債務免除」という形になってしまうため、免除を受けた時点で報酬の支払いがあったものとして源泉徴収をしなければならない。支払期日を過ぎていても源泉徴収が必要ないのは、(1)会社法の規定による特別清算開始の命令を受けている、(2)破産法の規定による破産手続開始の決定を受けている、(3)民事再生法による再生手続開始の決定を受けている、(4)会社更生法による更生手続開始の決定を受けている、(5)債権者集会などの協議により債務の切り捨てを行っている――など限られた場合のみだ。原則として支払期日を過ぎた報酬の辞退については源泉徴収が必要になると覚えておこう。
 なお従業員の給料については、基本的に全額払いの原則があり、会社には支払いの義務がある。だが、従業員本人が自由な意思で賃金の受け取りを拒否すれば、不支給も認められる。ただし、この「自由な意思」には客観的かつ合理的な理由が必要とされているため、業績不振のたびに社員に減給を飲ませるということが通るわけでは当然ない。合理的な理由としては、社会保険料の支払い義務が生じることを従業員本人が嫌がったケースなどが過去に認められているようだ。
 ちなみに最近では、給料の一部を年金の積立に回す「選択型DC(確定拠出年金)」を退職年金制度として導入する企業も増えつつあるが、選択型DCで年金を積み立てる掛け金は、従業員の給料を一部減額して回しているという部分には注意が必要だろう。給料が減額されれば、厚生年金などの将来の給付額も減ることになるし、残業計算の基礎となる賃金も減る。そうしたデメリットまで踏まえて、選択型DCへの移行に当たって従業員の「自由な意思」による承諾を得られているのか、一度しっかり確認したほうがよいだろう。