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税務処理は賞与か給与か  未払残業代 法人税と所得税の違い
  働き方改革の推進で従業員の権利意識が高まっているからか、過去の未払残業代をめぐる請求や裁判が増加している。会社にとっては理不尽に感じる請求もあるが、労働者の勤務時間管理が企業の義務である以上、会社側の責任が問われるケースが目立つのが現状だ。
 未払残業代を支払った場合、法人税法上の損金算入時期は、支払方法にかかわらず「債務確定主義」に基づき判断される。具体的には、未払残業代の支払い義務が判決、和解、労働審判などで確定した日の属する事業年度の損金として一括で処理する。例えば、和解が成立したのが前期でも、実際に支払いが当期にずれ込んだ場合、損金にできるのは実際に支払った期ではなく、確定した日の属する前期だ。
 さらに未払残業代は、その名目にかかわらず、全額が給与所得として取り扱われる。所得税が課されるのは、未払残業代を実際に支払った日が属する年だ。支払いの際には、会社は所得税と復興特別所得税を源泉徴収しなければならない。支払いを受けた従業員も、その年の年末調整で精算する必要がある。
 未払残業代の支払いで、最も注意が必要なのが社会保険料だ。というのも、未払残業代は、原則として社会保険料の算定基礎に含まれるためだ。多額の未払残業代が支払われた場合、賃金の変動があったものとみなされ、過去にさかのぼって標準報酬月額の訂正を行わなければならないことがある。この際、会社と従業員の両者に、過去の期間にさかのぼって社会保険料の差額分を納める義務が発生してしまうというわけだ。